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こちらゲンキ!組合 Vol.1 協同組合ライフサポート

 平成10年7月、約200名から成る京都府牛乳商業組合の有志20名が、ある発想の転換から新たな協同組合を設立した。個店それぞれが培ってきた「顧客との信頼関係」をひとつに結集しよう!と。それは牛乳を接点として「安心と安全を届ける宅配集団」というキーワードを導いた。スケールメリットを利用し、安全で健康、しかも一般の量販店やスーパーにはない数多くの食品類を協同購入し、個々の組合員が持つ顧客のもとへ宅配する協同事業の展開が始まった。
 定期的に開かれる全体会議の場で選ばれた商品は、月1回配付される総合パンフやメーカー提供の単品チラシ、商品サンプルを用い、全顧客に具体的かつ計画的に紹介されている。B3サイズ、両面フルカラーの総合パンフは3ヶ月分相当の12万部を一度に制作し、経費を押さえると共に、ホチキスとめ等の作業を共同作業所に依頼し、社会貢献も行っている。
 入会にあたっては、出資金5万円、入会金1万円と会費としての3,000円の費用と入会希望者の所在地域の組合員の了承を必要としている。これは競合他業者との間で取扱いアイテムの差別化を持続し、厳しい商圏の行き過ぎた重複を避けるための対策で、新規組合員に対しても特に広い募集は行われていないという。
 結成当初、約1,000万円の取扱高は5年間で10倍、10品のアイテムも80品目を超える成長を見せた。そのため、今では売り込みに訪れるメーカーも後を断たないという。
 さらに注目すべきは事務局代行の受発注センター(シースリーネット)を中心に、日常の発注業務から決済までが統括されている点である。また、組合員宅への発送段階では、各メーカーに振分け発注された商品を、配送業者側で発注店舗ごとに整理をする場も設けられている。現在の受発注はFAXを中心に行われているが、業務拡大と共に増えつつある運営経費や事務処理の削減を狙い、中央会の助成を得た本格的な一括システムを開発中。これが完成すればより効率的な営業が可能になる。
 今後の展開としては、長年培ってきた顧客の世代交代を乗り越えることが考えられている。そのためには「安心・安全を届ける宅配集団」=ライフサポートとしての商品選定、ブランド力強化、認知度の向上が必要となる。また、現状では商品紹介にとどまるHP情報にショッピング機能を加え、組合全体の収益を増やすことなども検討されている。
 通販・量販業界も健康指向型商品を投入するなど、健康ブームも飽和状態の感がある中での新規顧客開拓が課題となるが、何よりも設立意図が明確で、加盟店全体の参加・運営意識が高い協同組合である。その前向きな姿勢からは必ず解決策が生み出されることだろう。