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こちらゲンキ!組合 Vol.2 日本きものシステム協同組合

 きもの需要の落ち込みが続き、業界に逆風がふく中、地域という枠を超え、活発な組合活動を通じて業界でも5本の指に入るという実績を作り上げたのが今回の日本きものシステム協同組合だ。加盟の各社からは、絶えず売上増、新規出店、新装開店など元気な報告が飛び込んでくるという。一体、その秘けつはどこにあるのだろうか。
 同組合は、主として信販、振袖、総合催事、人材教育を担当する4つの事業部から編成され、組合員の意向を考慮した上でほぼ全員がいずれかの部署を担当する。全国約40の都道府県にまたがる加盟の140店舗は、組合が独自に開発したJKSネットで結ばれており、いつでも情報の発信がなされ、距離による不都合さはない。本部は和装の産地・流通機能が集中し、情報の収集にも有利な京都に設置。理事会や例会、各種研修会などもそのほとんどが毎月、京都で開催されている。全員が参加しやすいよう、向こう2年間にわたる事業計画をたて、スケジュールを公表する。3回連続欠席の場合は、理由の如何に関わらず、進退が問われるほどの徹底ぶりだ。全員が同業者としてのライバルでありながら、組合員としての仲間意識も強く、毎月の例会はお互いに情報交換を行い、エネルギーも充電する楽しい顏合わせの場でもあるそうだ。
 振袖等、新商品の開発を行いつつも組合自体は販売を行っていない。組合の役目とは「加盟店の商売をサポートすること、そしてスケールメリットを生かした経費削減を行うこと。ただの寄合ではダメです」と事務局長の谷本氏は断言する。消費者向けに、フルカラー100ページほどの商品カタログ『AILE』、生活情報誌『エール通信』を一括で制作し、商品のアピールと新規客の獲得を図っている。いずれも発行部数は10万部を優に超えるというから驚きだ。特に後者の情報誌では若い女性が興味を持つお店の紹介や占いコーナー等を設け、業界紙にありがちな押しの強さを全く感じさせない誌面づくりが読者の好感を呼んでいる。
 同組合の目指すところとして、(1)強い商品の開発(2)新規客を創る(3)販売方法を新しい角度から作り上げる(4)人材育成の強化と生産性の高い社員の育成(5)資金の余裕をもった真っ当な経営の5点を掲げている。そのいずれもが組合員間の強い結集のもと、目に見える形として成果をあげている。常に消費者と業界を公平に視野に入れ、自己研鑽を怠ることがない。当面の課題はホームページの更新。今後はユーザーに近いメディアとして一段と力を入れていく方針だそうだ。今回の取材を通じ、谷本氏の次の言葉が強く印象に残った。「組合はみんなが主体です。おみこしは、みんなでかつぐものですから。」