昨年秋の青年部による見学会に引き続き、今年も可憐な秋の新作バラの姿を求めて杉本バラ農園さんを訪れた。
長雨と日照不足、また猛暑と農家泣かせの天候に、例年以上のキメ細やかな管理が行き届いた農園では、やや開花が遅れているとはいうものの、新品種9種類を含めた全35品種のバラが栽培され、その中から新作7種の花をカメラに収めることができた。
中でもおすすめは、蕾からは想像もできない大輪のカーネーション咲きをする『ラ・カンパネラ(7)』となんとも繊細な小豆色系ピンクの『マニエル・ノワール(6)』。前者は卵色で存在感のある華やかさが特徴の限定品種、後者ははんなりとした和のテイストが売りの純国産種で、ともにスプレー栽培も可能。また、同じく卵色系の『サラ(2)』、さわやかな黄緑色の『クリーミーエデン(3)』の2つのスプレー種はそろそろ出荷も可能な仕上がり状態だ。
日本ばら切花協会の会長に就任された杉本さんは、国産品と輸入品のバランスをとりながら、さらなる普及の拡大を目指している。近年は温室の暖房にかかせない原油価格の高騰で、廃業を余儀なくされる国内の農家が相次ぐ一方、輸入物の品質も向上し、農家がかかえる苦悩は我々の想像をはるかに超えるものだという。
昨年、京花協青年部が主催した見学会は、杉本さんにとっても大変画期的な出来事だったそうだ。今後の消費拡大のためには産地・市場・花屋が一体となった情報や意見の交換がますます大切になる。バラに関することなら何でも結構、茎の太い・細い、同種で別色がほしい、スプレー咲きができないかなど、率直な意見を聞かせてほしいと杉本さんは語る。
新作バラの本格的な出荷は10月下旬頃に予定されている。市場への展示会も同時に計画中だ。まずは現物をご覧になった感想を伝えてみてはどうだろう。われわれ京花協オリジナル品種の実現も夢ではないかも知れない。
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