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プリザーブド講習会

 ひとときの美しさにすべてを託す生花とは対照的に、その名の通り咲き誇った一番美しい姿を「保つ」プリザーブドフラワー。枯れないという点では生花店の天敵ともいえる存在ですが、お客さまの立場からすれば「花」にかわりはありません。その特徴を知り、新たな商材に加えるべく、青年部主催の講習会が開催されました。
 講師を務めて下さったのは木津川市でサロン・VENTを主宰されている、瀧村由起子先生。先生は未生流華道の師範でもあり、生花店での勤務経験もお持ちの上、開催されているサロンは関西でも初めての日本プリザーブドアロマフラワー協会による認定校と、生・プリザ、双方のお花が持つメリット・デメリットにご精通されています。
 今回はプリザが持つ特質を学び、アレンジを作ることを通じ、生・プリザとも互いのデメリットを補いながらウィンーウィンの商材として扱えることを目指します。
 その大きな特質は次の3つ。何をさておき、プリザは水がなくても美しいまま、約1年ほどの長いあいだ、みずみずしくやわらかい姿を保つことができます。アレンジの作り手にとっては花材が限られる反面、ブルーやブラック、モスグリーンなど自然界にはないカラーバリエーションを使うことができます。
 お客さまに対しては、アレルギーや水性の細菌感染の心配がないため、病院へのお見舞いにも安心してお使い頂くことができます。
 取扱の上においては、生花よりかなり繊細な点もあり、色抜けをおこさないよう湿気や直射日光、エアコンの当たらない場所に保管するなど、細心の注意が必要です。
 各種取扱メーカーにより質感・花びらの枚数・色目・価格等、さまざまな特色があるのでこれも知っておく必要があります。すべてつぼみの状態で販売されているため、一輪一輪に対し、生花と最も大きく異なる下処理、「開花」の作業をしなければなりません。これには少し手間取りますが、それから先のアレンジはワイヤリングと高さを飲み込めば、花屋にはお手のものです。
 そして忘れてはならないのが仕入れのコスト。生花と違い、相場や季節に左右されないため、1輪あたりいくら、と定価格で販売されており、扱い損じた場合には、大きなロスが生じます。「それでもプリザはやっぱり花数が少ないし、高さでも見劣りがするし、値段も高いから売りにくいんじゃないの?」 そんな疑問に瀧村先生がお答えくださいました。
 「お客さまに対しては、なによりもまず、長持ちがすること、そして、アレルギーや細菌の心配がないことをお伝えします。作り手側としては、いかに「開花」させるかです。花のかさが増すので、2輪で3輪分のボリュームが生まれます。その上、一旦花びらをはずすので、他の花のものと組み合わすことや、そらし方を工夫することで自然界にはない、新しい魅力を発信することができます。確かに手間ですが、時間のあるときにストックしておき、花持ちの悪い夏場に店頭に並べなどすれば経済的。花材には実もののフェイクを混ぜたりすることで変化がつけられます。高さに関してはラッピングで工夫することもできますね。工作好きの方に特に向いていますよ」
 なるほど! つまりは生花商として普段から、いかに花を観察し、理解しているか。イメージ力とアレンジ力が問われそうです。それに、季節を問わない日持ちの良さは、案外ネット販売に向いているかもしれません。
 それほどプリザの専門店が出店していない今がチャンスです。お客さま目線で1つの花材として自信を持って販売できるよう、手間にアイデアをプラスして、他店にはない個性的なアレンジを作ってみましょう。